サイレントマジョリティーがヒットしている。なぜこれほどまでにヒットしているのか。なぜここまでカッコいいと感じる曲なのかを考察してみることにした。
それはコード曲調の違和感が原因なのかもしれない。
この理由を知ればきっともっとこの曲が好きになるだろう。そして誰かに言いたくなるに違いない。
欅坂46「サイレントマジョリティー」を最初聞いたとき、コード曲調にすごく違和感があった。でもその原因が何なのかはわからなかった。サビはかっこいい。AメロもBメロもいい。しかし通して聞くと何やら最初はすごく違和感を感じる。曲は好きだ。今までにない曲調だしカッコいいと思う。
いったいこの違和感は何なのか？
「サイレントマジョリティー」の曲が人気になったのは「てんちょう」が画期的すぎるからだ
欅坂46がカワイイからヒットしたに決まっているだろう！と怒られるかもしれない。確かにメンバーがカワイイというのは認める。それも曲がヒットしている原因の一つだろう。しかしそれだけではないのだ！「てんちょう」なのだ！店長ではない！転調だ！この曲がヒットした原因はこれがあるからだ！といっても過言ではない。
まず簡単に「転調」というのを説明しよう。J-popで頻繁に使われる手法。曲の途中や最後の方で気分を変える目的で、キーを変えることである。GReeeeN「キセキ」で言うと最初のキーは「Cメジャー」（ハ長調）であり少し明るい感じがするが、サビの「ふたりよりそってあるいてとわのあいをかたちに～」からAマイナーに転調しさびしい響きとなる。これが転調である。
「サイレントマジョリティー」の曲が今までにない画期的な曲だと言われ、皆から好まれるのは、この「転調」が大きい。
歌詞で見ていこう。まずはAメロBメロとサビとでは、この曲の印象が全然違う。
まずAメロとBメロの歌詞に注目したい。AメロとBメロで世間に対して疑問などを言っている「似たような表情や似たような服装着て。ルール守れって言うけれどルールを守れ言っている人の目は死んでいる・・・・」ほんとにそれでいいのかい？のような雰囲気で歌い、そしてサビに突入する。「君は君らしく生きて行く自由があるんだ・・・」と。
PVではセンターの子が人の間を猛進してくるシーンである。
このシーンは映画「モーセの十戒」のようである。
※モーセの十戒を簡単に言うと、奴隷が支配者から逃げて大きな運河に辿り付きます。このままでは捕まって奴隷は殺される。サスペンス劇場でいう崖の上に追い込まれ殺されるという状況に近いですね。逃げ場ない状況です。そして奴隷は運河に追い込まれて、やばい！！というとき・・まってました！モーセの出番です。モーセは運河の水をスパッと真っ二つに分かれて道を作ります。水を分けるのです。神のちからです。そうセンターの子はモーセのようなのだ。そして奴隷はその道を通り捕まらなかったという世界的に有名な話。
さて話を元にもどしこのサビ前とサビの瞬間に「転調」しているのです。他のjpopでも転調は多用されている手法なのですが、転調は気持ちのよい、音の相性が良い、転調しやすいある程度ルールがあって、この音からこの音への転調は良いとされるみたいなリストがあるんですね。
楽譜でみるとここです。
♭が７個あり7と８が書いてありますね。そして♭が4個になって4と4が書いてあります。ここが転調です。曲調が変わり一番カッコいいところです。センターの子が人の間を猛進してくるシーンですね。「サイレントマジョリティー」PVの１分8秒のシーンです。
でも「サイレントマジョリティー」のこの音の転調は相性が良いとはいえない。今までになかった新しい転調なのです。普通だと気持ちが悪い転調なのです。でもそう感じさせないようあらゆる工夫が施されている。その原因をご説明します。
①曲の最初の歌い出しの音とサビの最初の音が同じ音である。
曲の最初の歌い出しの音「人が溢れた交差点を・・・」の最初の音はラ♭
そしてサビの「君は君らしく・・・」の最初の音はラ♭
で同じなんです。
②切り替わる時の最後との音とサビ最初の音も同じ
楽譜をみると最後の音にラ♭が含まれており、サビの最初の音にもラ♭が含まれている。
③ず〜と4/4拍子で来ていたのに、転調が起きる瞬間7/8になり、サビでまた4/4拍子になります。
急にアッパーカットで不意をつかれ、あれ？？と思って気づかない瞬間に、しれっと転調が起きているのです。
④音も一度ニュートラルを入れ、わざと音を外している。
楽譜の左から３つめナチュラルの記号が入っています。この音だけ♭じゃないという意味ですね。これでまた不意をついてきます。聞いてるほうはそっちの音に気を取られます。「テッテテー（←この音）、テッテテーテテ」。しれっと転調が起きているのです。
⑤１音に２言語以上を詰め込む
サビの「君は君らしく」や「自由があるんだ」という歌詞からは１音に２言語以上入っています。メロディーに沢山の歌詞を詰め込んでおり、より印象を強くしています。すごく早口になるのはその為。転調が起きていることを忘れさすくらいにサビで攻めてきます。
以上の理由から、通常だと気持ちが悪い転調で使われて来なかった音を、この曲はあえて使い、見事に転調を操り今までにない曲に仕上げている。最初に感じた違和感はこの「転調」があるからだと改めて感じた。すばらしい曲「サイレントマジョリティー」欅坂46これからも応援していこう。
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